2015年11月11日 PHARMACY NEWSBREAK WEB版コラムへ当社取材記事が掲載されました。
2015.11.11
〔コラム〕増加するM&A、下がる買収価格 11月11日 13:17
年々増加する調剤薬局業界のM&A(合併・買収)。件数が増え、店舗数の多い中堅クラスが売却に踏み切るケースも目立ってきた。
薬局専門M&A仲介会社のMACアドバイザリー(東京都)のまとめによると、調剤薬局大手8社の純新規出店総数は13年3月期をピークに減少へと転じた。これを補うように、各社のM&Aの店舗総数は毎年着実に増加。出店の軸足を純新規からM&Aへとシフトしている。
その一方、買収価格の相場は着実に下がってきているようだ。MACアドバイザリーも「ピークは過ぎた。ピークは1年半ほど前だったのかなと思う」と振り返る。
上場調剤薬局などはこれまでM&Aに関して高すぎるともいえる値付けを行ってきた。今の買収価格の抑制はこれまで一般的ではなかった金額が妥当な金額になってきたと表現するほうが正しいのかもしれない。
ただ、妥当と言っても、他の業界から見れば、その金額はまだ高いという。事実、大手調剤薬局の中にはまだ高い投資を行っている企業も複数見受けられる。MACアドバイザリーも「誰かに聞いて、まだ、こんな金額で買っているよという話があるとしたら、それは嘘ではなく、実は本当。相場はほとんど(の大手)が落としているが、落としていない会社もある」と打ち明ける。
長い目で見れば、今後、買収価格が上がることはないだろう。大手も経営を取り巻く環境が厳しい上、売却を希望する薬局の増加で選択肢が広がれば、大手も無理に高いのれん代を付ける必要もない。価格が下がる要素はあっても、上がる要素はないというのが現状だ。
買収価格低下への次の引き金は次期調剤報酬改定。その次は2017年4月の消費税10%増税だろう。調剤薬局をめぐる買収価格の相場は今後、二段階で下がる方向へと移っていく。