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薬局業界の最新動向

平成30年度 調剤報酬改定

  改定率 国費ベース
診療報酬本体 +0.55% 医科 +0.63% +600億円
歯科 +0.69%
調剤 +0.19%
薬価等 ▲1.74% 薬価 ▲1.65% ▲100億円
材料 ▲0.09% ▲1,800億円
ネットの改定率 ▲1.19%  

かかりつけ薬剤師・薬局の機能や対人業務を評価へ

平成30年4月、上記のとおり診療報酬改定が実施されました。調剤報酬については、今回の改定率は0.19%のプラスとなったものの、前回同様で大型門前薬局の評価見直し等の外枠での引下げがあり、実質で約100億円のマイナス改定となりました。
患者本位の医薬分業を実現させるため、かかりつけ薬剤師・薬局の機能や対人業務を評価することに加えて、基準調剤加算に代わって新設された「地域支援体制加算」では、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を評価する内容となりました。一方、調剤基本料1以外を算定する薬局では、在宅業務やかかりつけ薬剤師指導料等の一定の実績が求められるため、施設基準を満たすことが難しくなり、さらに調剤基本料の特例対象範囲の拡大、特例除外規定の廃止により、大型門前薬局にとっては厳しい改定となりました。

平成30年度 調剤報酬改定におけるポイント

1.大型門前薬局の評価の見直し

サービスや機能よりも、立地依存で便利さだけで患者に選択される存在から脱却し、薬剤師としての専門性や24時間対応・在宅対応等の様々な患者・住民のニーズに対応できる機能を発揮することを通じて患者に選択してもらえるようにするため、処方箋受付回数・集中率による現行の調剤基本料の特例対象範囲が拡大された。調剤基本料では、薬局グループ全体での処方箋回数が40万回超で、処方箋集中率が85%超、医療モールなどのように特定の医療機関と賃貸借関係がある保険薬局については新たに点数を減算する点数を新設された。

2.地域医療に貢献する薬局の評価

基準調剤加算(32点)に代わって、地域支援体制加算(35点)が新設された。基準調剤加算は調剤基本料1を算定する薬局のみが対象であったが、一定以上の開局や医薬品の備蓄、24時間調剤・在宅にかかわる体制の情報提供、在宅療養を担う医療機関・訪問看護ステーションとの連携体制などに加え、医療安全に資する取り組みの実績報告、さらには地域医療に貢献する体制を有する薬局であれば基本料を問わず評価される形に改められた。

3.薬局における対人業務の評価の充実

患者に選択してもらえる薬剤師・薬局となるため、専門性やコミュニケーション能力の向上を通じ、薬剤の調製などの対物中心の業務から、患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトを図るべきという考えのもと、服用薬剤調整支援料(125点)等が新設された。

4.後発医薬品調剤体制加算の要件引上げ

平成32年9月以降の後発品数量シェア80%の目標が示される中で、後発医薬品調剤体制加算はこれまでの65%(18点)、75%(22点)の2段階評価を、新たに最も高い点数を新設し、75%(18点)、80%(22点)、85%(26点)の3段階評価に改められた。

本改定が及ぼす薬局M&Aへの影響

集中率は医療機関との位置関係に大きく依存しているため、自助努力で85%以下にすることは非常に難しい。そのため、本改定が薬局M&Aに与える影響は大きく、次に挙げる3つの事象発生が想定される。

  1. POINT01

    M&Aメリット激減の優良薬局増加

    (例)月1,500枚前後、集中率85%超、基準調剤加算取得の薬局
    大手チェーンへの譲渡は、調剤基本料が41点→15~20点、基準調剤加算32点→0点となるため、約1,000万円の利益減少となり、これまで優良とされてきた薬局で評価がつかなくなる結果となる。
    ▲58点×1,500枚×12ヶ月=▲1,044万円/年の減益

  2. POINT02

    大手中堅チェーンの切離し急増へ

    (例)月1,000枚以下、集中率85%超、大手中堅チェーンに所属の薬局
    大手中堅チェーンで集中率85%超の小規模薬局は、POINT01同様に▲21~▲58点となる上に、薬剤師一人体制が取れずに不採算店舗となる可能性が高く、効率化による当該店舗の売却が加速すると予想される。逆に、独立志向の薬剤師にとっては追い風となる。
    [薬剤師の独立支援サイトはこちら]

  3. POINT03

    中堅チェーンの売却増加へ(4万枚グループ前後)

    大手チェーンの傘下入りした場合の減算影響は、上記▲58点よりも軽微。(20点→15点)

    マンツー、医療モールは、数千万円単位で収益減。

    調剤基本料2、3の施設基準は厳しく、地域支援体制加算の算定はほぼ不可。

    M&Aのメリットは未だに残っており、今後更なる厳格が顕在化したため、売れるうちに売却検討へ

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